2007/8/4 (土)
相続時精算課税は使えるか?
(1)相続時精算課税制度の概要
これは、65歳以上の親から20歳以上の子への贈与について、受贈者の選択により、一般の暦年単位による贈与税の課税方式(暦年課税)に代えて、適用を受けるものです。
贈与時には、特別控除額(累積で2,500万円)を超える部分について、一律20%の税率により贈与税の納付します。そして将来、贈与者の相続時には、その贈与財産の価額を相続税の課税価格に合計して、相続税額を計算し、既に納付した贈与税額を控除する仕組みです。
(2)適用対象者の要件
1)贈与者:贈与をする年の1月1日において65歳以上である親(特定贈与者)
2)受贈者:贈与者の推定相続人である直系卑属のうち、贈与を受ける年の1月1日において20歳以上である者(養子もOK、養子の数に制限なし)
(3)適用手続
1)その贈与税の申告書に「相続時精算課税選択届出書」を添付して、贈与税の申告期限内に納税地の所轄税務署長に提出します。
2)相続時精算課税選択届出書の添付書類
(ア)受贈者の氏名、生年月日、20歳以後の住所、特定贈与者の推定相続人に該当することを証する書類(戸籍謄本もしくは抄本又は戸籍附表の写し)
(イ)特定贈与者の氏名、生年月日、65歳以後の住所を証する書類(住民票の写し)
(ウ)相続時精算課税に係る財産を贈与した旨の確認書(税務署所定の書類あり)
(4)適用を受けた場合の留意点
(ア)相続時精算課税適用者となった場合、その特定贈与者からの贈与については、制度適用年分以降すべて精算課税制度が適用されます。(暦年課税での年110万円の非課税枠の適用なし)
(イ)相続時精算課税適用者が養子縁組解消などにより推定相続人でなくなった場合でも、その後の特定贈与者からの贈与について精算課税制度が適用されます。
(ウ)相続時精算課税適用者が特定贈与者に係る相続を放棄した場合でも、その特定贈与者からの贈与財産については、相続により取得したものとみなされます。
(エ)いったん相続時精算課税適用者になると撤回できません。
(5)その他
(ア)贈与者(65歳以上)の子が以前に亡くなっている場合のその子(贈与者からみれば孫)は代襲相続人(推定相続人である直系卑属)として当該制度の適用対象とされます。ただし、代襲相続人についても年齢制限は受けますので、贈与年の1月1日において満20歳以上でなければ新制度の適用は受けられません。
(イ)満65以上の贈与者と20歳以上(贈与年の1月1日現在)の者(受贈者)とを養子縁組する場合、養子縁組後に贈与した場合には、その養子の選択により新制度の適用があります。
(ウ)父母両方から贈与を受けた場合
親である父母ともに65歳以上であり、子が20歳以上であれば父と母からのそれぞれの贈与について新制度の適用を選択することができます。(つまり、2,500万円×2=5,000万円の特別控除額)また、新制度の適用選択は父母からの贈与について一方だけを選択し、もう一方を一般の贈与課税とすることも可能です。
(エ)親の年齢制限
住宅取得等資金について新制度を選択する場合には、受贈者である子は20歳以上である必要はありますが、親(贈与者)の年齢制限はなくなります。
このように65歳未満の親からの住宅取得等資金の贈与を受けて新制度の適用を受けた場合には、住宅取得等資金の贈与を受けた年を含め、その後のその親(特定贈与者)からの財産贈与については新制度の適用を受けることになります。
(つまり、住宅取得等資金の贈与をした親は、65歳以上の贈与者とみなして、その後の贈与について新制度が適用されます。)
(6)新制度の活用法
新制度は、貯蓄資産の流動化を目的に、高齢者の保有資産を次世代に円滑に移転させるという観点から創設された制度です。従って、その制度の趣旨には、相続税負担の軽減は含まれていません。
その意味で、相続税対策として新制度を活用することは、その制度の趣旨に馴染みませんが、次のようなケースはメリットがある場合もあります。
1)相続財産の総額が相続税の基礎控除額以下
2)自社株や将来有望な上場株のように相続時には評価が高騰しそうな財産に適用する
3)賃貸用物件などの収益物件(低評価&高収益が好都合)について新制度の適用を受ける
(7)この特例による贈与税額の計算

(8)同一年中に一般の贈与がある場合の贈与税額の計算

1)新制度特例贈与分 2,000万円-2,000万円=0(課税価格なし)
2)一般贈与分 (200万円-110万円)×10%=9万円
3)納付すべき贈与税 1) + 2) = 9万円